《MUMEI》
独り身(翔矢視点)
いつものようにカラオケで皆と騒いだ。
「最近さ〜、翔矢集まり来なくなったよな…」
「そんなこと…」
確かに。毎日女か集まりで遊んでたし…。
「変わったよな…」
「いつも通りだよ?」
「違うよ。何かあったのか?」
何かって…。
俺はいつのまにか俺が俺じゃなくなるようにな気がして怖かった。
変わった?俺が?
「何にもないよ」
「まぁ…、いいよ」
「ごめん」
その後もいつも通り笑いあった。

帰り道―。
「翔矢、また女振ったんだろ?」
「あぁ」
「好きな奴いるのか?」
「いない」
「じゃあ、付き合っとけばいいのに」
「面倒くさくなってさ」
「ふぅん…」
「まぁ、独り身も悪くないわ」
「なぁ…、もしかしてまだ長川の幽霊見えてたりする?」
「まさか、そんな訳ないじゃん!」
そのまさかなんだよな…。
「だよな…翔矢は優しいから気にしすぎちゃうんだよ」
「やさしくはないけどね」「ハハッ!確かに」
「じゃあな!」

カラオケから帰って風呂に入ってすぐ寝た。

朝起きて、長川がいないことに気付いた。
「カップ麺あったっけな…」
長川が家に来た日、カップ麺捨てられたんだ…。
コンビニ寄るか。

よく考えると長川がいなかった時はいつもこうだったんだ。
いつのまにか長川が当たり前だったから。

「今日の夜には帰ってくるかな?」

その日…委員会で遅くなって帰ってきた俺は、部屋を見回した。
「あぁ、いないか」
何か妙に辛くなって、家を飛び出した。

「長川、どこいったんだよっ!」


家の回りをとぼとぼと歩いた。

家から50分ほどの神社に姿を見つけた。
「長川何してんだよ」
「死にたくて…」
「死にたい?」
「私、分からなくなった…。このまま生きているのが幸せなのか」
「幸せなんか死んだってねぇよ」

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