《MUMEI》

そいつの名前は天澤春(あまさわはる)。

3年間同じクラスで、ずっといっしょにいたやつだった。


あの日、春に告白されたあと、
俺は春にとても残酷なことをした。




――――――

「…は…、な、なに言ってんだよっ…」

「…うん」

「じょーだんだろ?」

「ううん、ほんとうだよ」
「っ!…は、ははは、ありえねー…
いやいやいや、ないだろ」
「っ…」


目を見開いて俺を見る春。
明らかに、傷ついた表情。

俺は、そんな春を一人おいて、その場から逃げ去った。



だって、男だぞ?
俺も、お前も。
何考えてんだよ…



あの日から、俺らはほとんど話していない。
春が話をしようとしてきても、俺が避けてしまっている。


だって、どうしたらいいんだよ…
わかんねーよ…

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