《MUMEI》
手紙
《多田へ


多田、お元気ですか?俺は相変わらずです。
多田との文通、かれこれ二年半も続いてるね。
あの日、多田からの励ましの手紙から始まった俺たちの文通、
それも、今日で終わりになりそうです…

バレたんだよ、基秋に…。部屋の掃除してたら多田からの手紙の山見つかっちゃってさ!掃除中断されて1時間近く説教されたよ…(笑)
「俺には一つも書かなかったくせに!」とか「俺は必死こいておまえのこと探してたのに!」とか「もうやめろ!」とか。

彼は結構、ヤキモチやきでした(笑)

基秋、本当に俺の大学に編入してきたよ!超びっくりした!てゆーか、そんな簡単に編入なんてできないだろうにね…
聞いたら、山センに手伝ってもらったんだって。一体どうやってあの山センを手駒にしたんだろー??何か知ってたら教えてね!


そうそう!!聞いてよ多田!!基秋、俺のばあちゃんと母ちゃんに俺らのこと話したんだよ!?ありえないだろ!!?
うちに遊びに来たときに、母ちゃんが冗談で「二木君うちにお嫁に来なさいよ〜」って言ったら、「いえ、婿に来る予定なので!!」って!!しかもその場で挨拶し始めたんだよ!「春さんを俺にください!!」って!!
母ちゃんとばあちゃん大笑いだよ…俺めっちゃ恥ずかしかったー!!

でも、嬉しかった。
そんなふうに考えてくれてたんだなって…。
今基秋もばあちゃんちで一緒に暮らしてます。


多田、俺今すっげー幸せだよ。基秋とまた一緒にいることができるなんて、夢にも思わなかったよ。

多田、いろいろ話聞いてくれて本当にありがとう。多田の手紙に、いつも助けられたよ。
手紙は無理かもしれないけど(基秋が出させてくれないから)、メールや電話するから!また話聞いてね!あと、多田の話も聞くからさ。


いつか、こっちに遊びに来てください。待ってます。

親友の多田へ。


天澤春》

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