《MUMEI》



「下着?」

「うん、今日は泊まりになっちゃうでしょ?だからオカンが下着買いなって」

オカンがその為にお金くれた事を言うと

「な、…それってやっぱり俺との事話してくれたんだ?…、そっかぁ…」

「えっ?」


「……、なんか、嬉しい…」


俺を見上げながら聖ちゃんは本当に、本当に幸せそうに笑った。

「……はは…」

思わずつられて引き攣り笑い。





聖ちゃんはコンビニでボクサーパンツとソックスをご機嫌で選んだ。







聖ちゃんはおばさんと電話中…


「あ〜そうなんだよいきなり来る事になってさ、…今長野………、うん、貢と一緒……、うん、泊まる、……、わかった、…、うん、…、はい、…あ?そうだよね!」



「貢ッ!」

「な、なに?」


聖ちゃんは耳元から携帯を離した。


「貢の実家の住所言って?」

「実家?」


「早くっ!」

「は、はい…」


俺が住所を言うと聖ちゃんはおばさんにゆっくり伝え…


「じゃあ、貢の家についたらまた電話するから」


そう言って聖ちゃんは携帯を切った。










「浅草の佃煮送るんだって!」

「え?佃煮?」

「うん、俺手ぶらできちゃったからさ」

「……はは」


「フフッ」






ゆっくりゆっくり歩いてたのにあっという間に俺の実家のマンションに着いた。

「緊張するよ〜」

「……」






それは俺の台詞っす…。



なんの言い訳も考えつかないまま俺達はエレベーターに乗りこんだ。


聖ちゃんはエレベーターの中の鏡に向かって髪型を直している。




ボソボソ……「そんなに弄ったって女の子にはならないよ…」


「は?何?聞こえなかった」


「な!なんでもないっ!」


すると、ゆっくりと扉が開き、視界に見慣れた風景が飛び込んできた。

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