《MUMEI》
美しい満月
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それは突然に起きた。



何の前触れもなく…

いや、実はあったのかも知れないけど…




『おい!どうなってるんだ!?』

『すいません!機械が言う事を聞かなくてっ!』


何…?何だか騒がしい…


『い、いかん!間に合わ…っ!?』

『うわぁぁぁぁっ!!!』

ガシャーンという凄まじいまでの金属音と、それを掻き消すくらいの人々の叫び声。
その中から僅かに耳に届いた唸り声…


『ウゥゥー…』


まるで獣の様なその声は、怒りを帯びて邪悪に満ちて



逃げなきゃ!




身体が、本能が警告を発している。


でも…



何から逃げるの…?





加奈子はうっすらと目を開けた。






ボヤケた視界に写ったものは




それは、それは







見事なまでの美しい満月。






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