《MUMEI》

担任は言う。

「事故の事は本当に残念だったな…だけど生きてるならこれから何だって挑戦できるさ、一緒に頑張ろうな!」


ライバルは言う。

「頑張って早く追いつけよな」


親は言う。

「テスト、赤点だったんだって?
そろそろ進路の事も考えていかなきゃいけないんだから…もう少し頑張らなきゃ駄目なんじゃないの?」



「頑張れ」

応援の言葉は俺を追いつめた。
まるで他人事。
突き放されているような気がした。
壁を感じた。
俺は必要ないのかもしれない。
クラスにも、学校にも、家にも、社会にも。


『負ケ犬トハコノ事ダナ』


心の中で何かが囁いた気がした。
幻聴かどうかは別にどうだっていい、
こいつのことを天使か悪魔かと聞かれれば
間違いなく悪魔と答えるだろう。


「わかってたさ。そんなことは」


どこにいても同情の目、同情の声。
どんなに頑張ってももう戻れない。
諦め、堕ちていった俺は
負け犬以外の何者でもなかった。


『負ケ犬ハ必要トサレナイ。アンタハイラナイ人間ダ』

「……そうか俺は…」


必要のない人間か――――



「いいえ、必要のない人間なんて一人もいないわ」

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