《MUMEI》
厚化粧
春とは言え、暑い。
体育館の中を、履き慣れたバッシュで駆けずり回る俺の額には汗、汗、汗。
体中汗だくになりながらのフットワークは精神的に参るんだよ…
何の為にいるのか分からない女子マネ達の『ファイトー!』って声に、余計に苛立ちを増す俺。
「…るせぇ…。」
「え?」
しまった!つい声に…
「ううん、何でもないよ?」
部活になれば、マネージャーが例え先輩であっても選手の方が立場は上。
それは、この部だけの決まり事みたいなモノらしくて…
だから俺はタメ口。
ニッコリ微笑んで言ってやると、キャーキャー騒ぎ立てる厚化粧。
コイツら男目当てじゃん…
分かってた事を再確認し、笑顔を真顔に戻すとまた練習に気持ちを戻した。
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