《MUMEI》

《色っぽい、ってきっと…コイツの為にある言葉だ》







何もしなくていい、とか言われても…


---------------------------------




壁についた片手に重心を預けて












ローションを絡ませた秀一の指が、胎内に飲み込まれてく



「ン………ッ」


予想でしかないけど、



きっと息苦しいんだ…


それも、俺の為に………








そう思ったら、堪らなく愛しくなって







「んっ…」


秀一に歩み寄って、抱き締めて、


朱みがさした耳に、キスをしてみた

秀一の肩が震えた





反射的に、か

演技かは分からなかったけど。




「言っただろ…くすぐってぇよ…」
肩越しにはにかんだ様に微笑まれて、



「俺にさせてよ」



自分でも自覚がないまま、言ってた



秀一は最初、眼を丸くしてたけど


「…ん」と喉を鳴らして、指を抜きとった









俺は何を言ってんだ?





俺の右手、中指が飲みこまれる






「い…ッ…」



と、両手を壁についた秀一の背中が強張った





隆之に見せられたムービーの中の秀一は、



こんなに辛そうじゃ無かったのに





「ごめん…」

「…ゆ、じ……お前さ」





秀一の肩越しに眼が合った





「チェリーボーイ、かよ…ビビり過ぎ…」



でも俺の頭をポンポンと叩く




その手は

ガキをあやすみたいに優しかった

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫