《MUMEI》

バシッ…!!



「ちっ…」



(あのバカ…
勝負を焦る場面じゃね〜だろ…)



赤高の攻撃はユキヒロのロングシュート。


勝負を決めに行くことを焦ったが故の選択だった。



「走れッ!!」



秀皇のカウンター。


走る両サイド。


日高・関谷がこれを追うも、


一歩届かず、



「ナイスパスッ!!」



ボールは右サイド要大地へと渡る。



(またか…)



身構える村木。



(行け大地ッ…!!)



バスッ…!!



「ナイッシューッ!!!!!!」



秀皇、ようやくの加点。



前半27分39秒。11対7。



「はぁ…はぁ…」



得点が入ったことにより、


試合はペースダウン。



「榊ッ!!」



「…」



ここに来て、


センター榊はコートから姿を消す。



(…何だこれ。)



榊にとってそれは初めて芽生えた感情だった。



(あのチビ…)



視線の先には、


ディフェンスに付く千秋がいた。



(…ムカつく…ムカつく…)



ムカつく…心の言葉ではそう表現する榊だが、


その感情はムカつきではなく、


悔しさだった。



(クソッ…)















………………………………



残り時間、


両校キーパーが1本ずつシュートを止めるという展開。


約27分時点での要大地のシュートを最後に、


前半はこれ以上得点が重なることはなかった。


そして、



………………………………















「ビーッ!!」



「はぁ…はぁ…」



11対7。


点差は4点のまま、


前半終了を告げるブザーが鳴った。

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