《MUMEI》

………………………………



    観客席。



………………………………



………………………………



ザワザワザワザワ…



「ウチのハンド部ってこんな強かったっけ!?」



ザワザワザワザワ…



「これホントにひょっとしたら決勝行けるんじゃない!?」



ザワザワザワザワ…



「てゆーか行けるって!!


4点差だよ!?


絶対行ける決勝行けるでしょ!!」



ザワザワザワザワ…



赤高応援席はハーフタイムも熱気に包まれていた。


それもそのはず。


ここまでの経過を見て敗北を疑うような展開はなかった。


全てが順調なこの中で、


浮かれないなんて嘘だった。



ザワザワザワザワ…



「…」



ザワザワザワザワ…



だがだからこそ、



ザワザワザワザワ…



(マジかよ…)



ザワザワザワザワ…



素直に喜ぶことができない者がいたこともまた事実。



ザワザワザワザワ…



(あいつら…)



ザワザワザワザワ…

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