《MUMEI》

「キーパー攻略に関してはそれだけ。」



(さっ…ぱりわかんね…)



「まず、キーパーを攻略しないことには両サイドにやられまくること覚悟しなきゃなんないからね。」



「う……う〜ん……」



実際、
それはまず間違いない予想だった。


これまで以上にキーパーに止められることは、


それ即ち速攻のチャンスを与えることを意味していた。


速攻を連続して取られることを想定すれば、


4点のリードなど大した意味をなさない。


やはり単純な答えではあるが、


キーパー上野の攻略こそが後半の全てと言えた。



「じゃ…じゃあスタメンは…?」



「スタメンは前半の最後と一緒。」



「ちょっ…えぇ!?」



前半の最後。


そこに沖の姿はなかった。



「どゆことすか!?」



「や、もちろん沖にはすぐ出てもらうよ。


けどせっかくここまで隠して来たんだし、


多少時間のかかる整列の段階から沖が出れることを相手に教えるメリットはないじゃん。」



「な…なるほど…」



「徹底してますね。」



「まあね。」



「じゃあ俺は…?」



「後半はディフェンスからだし、


向こうのセットを止めてからゴーってことで。


それだけでもかなり意表付けるでしょ。」

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