《MUMEI》
奪った銃
「お前、何て事してくれたんだ!!」


修二の罵声で我に返る。


「ドクター!!」

修二の隣で怯え泣きながら美雪が叫んでいる。


でも修二はそんな事、お構いなしといった感じで…

「何で邪魔したんだ!?折角俺の夢が叶う瞬間だったのに!!」


そう吐き捨てた。


我が儘で自分勝手。

修二のその性格は、こんな土壇場でも直る事はない。

きっとこの先も、一生直る事なんてないのだろう。


「次邪魔してみろ…今度はお前を撃ち殺すぞ?」


凄んでみても無理なのに。


シュウちゃんに私は殺せない。


だってそうでしょう?
撃ち殺すって言ったって…


「あ…?お、お前いつの間に!?」



「リョウ!!」


ズガーン!ズガーン!と二発。私は天井向けて拳銃を撃った。


騒ぎのどさくさに紛れて修二から奪い盗った拳銃。



初めて撃ったリアルなその振動は、痛い程に私の両腕の骨に響き渡った。

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