《MUMEI》
自習練
.
「森長ちゃんC組なんだって!」
「ふ〜ん。」
「隣のクラスだぜ?部活も一緒だし…な、これって運命感じね?」
「かもな。」
「んだよ、水臭ぇな!ダチの恋愛応援してくれたっていいだろっ!?」
「ファイトォ〜!」
「いっぱ〜つ!!ってそうじゃなくて!!」
あぁ〜もうっ!!
マジ邪魔すんなよ!!!
俺は面倒臭くなって適当にアドバイスした。
「告ったら?」
そしたらウッチー、真剣に悩んじゃって…
まぁ初告白だったらしいから、仕方がないだろうけど
「だよな…。男は当たって砕けろ!って言うしな。」
―なんて凹んだ面見せるもんだから
「おうよ!!」
俺は面白半分にゴーサインを出してシュートを一本。
「ナイッシュー!…なぁ、もう帰んねぇ?」
「先帰れよ。俺、まだやりたいし。」
「そ?じゃあ、帰るな。」
ダム…ダム…
一人分のドリブルの音だけが響き渡る体育館。
別に好き好んで自習練してる訳じゃない。
俺は、ただこの音が聞きたいだけ…
綺麗な音…
何て曲なんだろう?
俺は聞き慣れない音と音楽に酔いしれながら、また一本シュートを決めた。
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