《MUMEI》

またおかしな声がする。
悪魔の次は天使か。
存在を信じてるわけでもないが
ふいにそんなことを思った。


「お邪魔するわねー」


閉めきっていたはずの窓が開き
カーテンをなびかせる。
窓から声の主であろう女が部屋に侵入してきたのだ。


「ああ、幽霊か…」

「失礼ね、私は幽霊でも幻覚でもないわよ!…って何寝直そうとしてんのよ!!」


女は足で床を鳴らしてみせた。
確かに足はしっかりついているようだ。

勝手に他人の住居に侵入するなんて常識はずれも良いところだ。
普通ならあり得ない、警察沙汰になってもおかしくはない犯罪だろう。
だけど不思議と俺は落ち着いていた。

怖くもないし、驚きもない。



「私は日本特殊機関鴉隊所属、隊長の林檎(リンゴ)よ。よろしく」


そっと俺の前に手がのばされる。
が、それを受け入れる事はなかった。
人と仲良くする余裕なんてなかったんだと思う。

林檎 と名乗った彼女は、諦めたように小さなため息と共に手を下げた。

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