《MUMEI》

背後から伸びてきた手に、刀弥の身体がふわり抱え上げられた
突然のソレに驚き、そちらを見やれば
「……御上」
其処に、御上が立っていた
どうやら無事らしく、暫く呼吸も荒く肩で息をする刀弥を眺め
そして、刀弥を抱え上げたまま歩く事を始めていた
その跡を豊原も慌てて追いかけて行く
「……無理を、させた。済まない」
ソレはどちらへ言った言葉か
恐らくはどちらにも向けたのだろうその言葉へ、豊原は首を緩く横へ振る
自分の事など構う必要はないから刀弥を、と
豊原は急かすかの様に御上の背を押しやったのだった……

 
 

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