《MUMEI》
再会
僕は初めて家出した。
これが最初で最後の家出となるとは、まだ思ってもみなかった。
僕は朝から明くる日まで
ファミレスでコーヒーを
何度も、おかわりしながら携帯と、にらめっこしていた。
「あの〜お客様すいませんが何か、ご注文を…」
茶髪で口調の強い店員が、あきらかにコーヒーの
おかわりに呆れたのか鋭い眼光で、まるで蛇に睨まれたカエルの様な時間が、しばらく続いた。
「ちょ ちょっと待って」
僕は急いで財布のなかの
小銭を集めた。
店員は、それでも鋭い眼光で僕を見る。
「おい!さっきから何だよその目付き、それでも店員かよ!」
つい僕はムキになり
周囲の客の視線も気にせず店員に対して怒りをあらわにした。
店員は急に態度変え
「すっォすいません!あの〜神代君ですよねィ」
僕は目が点になり
「なんで知ってんだ、キミ名前はィ」
すると店員は笑顔で
「私よ!ほら高校の時、陸上部だった、わ た し よ!」
店員を何度も見て過去を
振り返り思い出そうとしたが名前どころか陸上部に
いた記憶がないまま時間だけが続いた。
店員は、大きなため息を
つきながら
「ほら地区大会で短距離やってた澤山ユミよ!」
僕は目の前の店員が、あの高校時代、僕が片想いのまま卒業間近に家出し姿を
消したユミとは信じられないまま
「嘘だろ」と何度も問いかけた。
するとユミは嬉しそうに
「信じられないなら今日の9時に駐車場で待ってて」と言って奥のテーブルに
注文を受けに言った。
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