《MUMEI》

「歩雪、秋葉ちゃん。今宵ちゃんに言いたいことあるだろ」

「え?」

「琴吹・・・・・・」

「ちゃんと言いたい事言ってやれよ!!このままでいいのか?ずっと言わないままだったら今宵ちゃん、ずっと誤解したままオレらの側にいんだぞ!?辛いに決まってんじゃねーか!!」

興奮して真剣な目で叫ぶ紘に、歩雪は表情を硬くした。

歩雪の横にいる秋葉も同じようになっている。

・・・・・・ちゃんとこーに伝えないと。

誤解さしたままでいいわけない。

「・・・・・・あたし、雪村に会ってくるわ」

秋葉がポツリと呟いた。

秋葉も同じように思うことがあるんだ。

誤解を解くだけじゃなくて、ちゃんと言っておかないといけないことを。

琴吹に教えて貰うとは、ね。

「ありがと、琴吹。行こ、秋葉」

「ええ」

歩雪は紘に礼を言うと、秋葉と公園を出ようと踵を返した。

「ばーか。何言ってんだよ!!オレも行く」

「は?」

歩雪の肩にのっかかってきた紘に、歩雪と秋葉は驚いて声をあげた。

「オレも今宵ちゃんにも会いたいし〜♪」

琴吹・・・・・・?

「ほらほら!!今宵ちゃんち行くぞ〜!!」

紘はグイッと2人の背中を押し出す。

「痛い」

「そんな押さないでよ!!」

「早く〜!!」

琴吹は最初からついてくる気だったのか。

オレらだけだとこーが話しづらくなるから。

凄いな、琴吹は。

チラッと秋葉に目をやると、口元を緩めてこっちを見ていた。

秋葉も同じことを考えていたようだ。

・・・・・・ちゃんと、話さないとな。

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