貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
その女、椿
ゆらゆらと蝋燭が闇に揺れて、辺りをぼぅ…と照らす。
黒い法衣の集団は山を目指していた、草履をすり減らし、雨風に耐え一定のリズムを生みながら列を作って登っていく。

手にもつ黄金の錫杖がしゃんしゃんと金音を立てて、まるで声無き歌のように山に響いた。
やがて、雨風は強くなり雷が鳴り始めた。
「雨で我意那様が弱っていなければよいが」
先頭の男が呟く。
瞬間、天を裂くような轟音と共に、山頂に雷光が落ちた。
「なんと!」
男達は慌てて山頂へ走った。


そこには巨大な鳥が一羽、何かを守るようにうずくもったまま息絶えていた。
「何ということだ、我意那様が」
「朱天様、あれを」
朱天と呼ばれた先頭の男は、部下が指差した鳥の懐を見た。
「おぉ…これは」
母親に抱きしめられるよう、柔らかい羽に赤ん坊が1人抱きしめられていた。
「女子が…我意那様は一体…」
朱天はそっと抱き上げた、すると赤ん坊はパァッと光を放ち始めた。
やがて光は翼のような形になり、背中の中に消えていった。
「間違いない、この赤ん坊こそ、我意那様のご息女。我々の救世主である」
嵐は止み、月は女子を祝福するようにその顔を覗かせていた。


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