《MUMEI》

………………………………



   赤高ベンチ。



………………………………



「…沖。」



「は…え!?」



「何してる。出番だよ。」



「お…おっすッ!!」



後半開始から約40秒。


赤高。


秘密兵器の投入。



………………………………



………………………………



    コート。



………………………………



「戻れッ!!」



千秋のカットからボールは赤高の手に落ちる。


秀皇は素早く戻りディフェンスに構える。


この間、


攻め込んでいたのは両サイド(日高・関谷)のみで、


上3人(椎名・ユキヒロ・峰田)はペースダウン。


交代が決まっていたとはいえポストとして出ていた千秋はベンチへ走り、



「…お願いします。」



パチンッ!!



「まっかせなさい♪」



沖、出陣。



「ん…?」



コートに足を踏み入れる沖。


その様子を見た秀皇キーパー上野の表情が動く。



(出れんのかあいつ…?)



ここまで、


1年の久保や、


本来はディフェンス要因の千秋を導入し上野から少しずつ得点を重ねた赤高。


この早い段階からの交代からは、


同じ類の作戦であるという可能性がぷんぷんと匂った。



(…同じ手にかかると思ってんのか?


冗談じゃねぇ。


序盤ならあいつにも点をくれてやったかもしれないけどもう後半。


しかもこっちが負けてるってのにそんな勝手やれるわけねぇだろ。)



沖がどんなシュートを打つ選手だとしても、


上野はその情報を探る為にあえて点を与えるような行動を取る気はなかった。



(さぁ、打って来いよ。)



ボールは赤高。



「1本行きましょ〜ッ!!」



セットからの展開。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫