《MUMEI》

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   赤高ベンチ。



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「…」



ベンチで考え込むクロ。



「いっ…いや、
でも今のはホラッ…!!」



「まぁしょうがないかな…」



「そう!!しょうがな…え?」



「常に常に沖から打てるわけもないし、


椎名が攻め込んだのは正解だよ。


無理なら落とさなくても全然オッケー。」



(…紛らわしい態度とんないでよ。)



クロは怒っているものだと思った佑香。


ご機嫌取りも楽ではない。



「日高と関谷に関しても今はしょうがないかな。」



「!」



何気なく呟いたクロの一言だったが、


ここに妙な違和感があった。


そんなにあっさりと許すのであれば、


あそこまで日高にキツい言葉を浴びせる理由はなかったのではないか?…と。



(ホント…何考えてんのこの人?)



………………………………



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    コート。



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「ふぅ…」



ため息をつきながらゴール内に転がるボールを拾う村木。



「わ…わりぃ。」



背を向ける村木に謝る日高。



ヒュッ…



村木から日高へボールが渡る。



ボソッ…
「最後まで…」



「は?」



小さな声で村木が呟く。



「最後まで走れるって言うなら…


あと3点。


守ってやらないこともないけど?」



「…何言ってんだお前。」



「それしか脳がないだろ。」



「どういう…」



「日高早くッ!!」



「あ…」



センターラインに向かおうとする日高に、


村木は続けて言った。



「速攻のパス。
出して欲しいなら走れよ。」



「ん…」



日高は答えることなくセンターラインへ。



(あの野郎…)

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