《MUMEI》
心臓
「ぎゃぁぁぁぁ!」
全弾全てを身体に受けたリョウは、後ろへ倒れ込んだ。
的が大きかったお陰で、素人の加奈子にも撃つ事が出来たが…
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
加奈子は何度も謝った。
謝って、謝って…
それでリョウが生き返ってくれるのなら
声が枯れたって構わない。
至る所に銃弾を受けた身体が、血で真っ赤に染まっていく様を見ながら加奈子は泣きじゃくった。
「おい…心臓は撃ったのか?」
「え…?」
泣き腫らした目で修二を見たら、鬼の様な形相で加奈子を睨んでいた。
「心臓は撃ったのかって聞いてるんだよ!!」
「心…臓?」
もう一度リョウの身体を見る。
呼吸が止まった身体はピクリとも動かず、胸部の上下がない。
その部分をよく見渡してみたが、弾が当たった形跡が見当たらなかった。
「心臓は…当たってないみたい…」
その一言に修二は激怒し、加奈子の胸倉を引っ掴んだ。
「馬鹿野郎!!コイツはなぁ、心臓狙わねぇと死なねぇんだよ!!」
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