《MUMEI》 噂この海には、不思議な噂話があるといわれている。 その噂話とは―、 新月の夜になると空に月は出ていないのに何故か海に【蒼い月】が映る―という話である。 そして、それを見た者は幸せになれるという。 それを一週間前に隼斗が偶然その話を街で聞き、5人を誘ってきたのである。 「新月の夜に何故か海に月の影が映るなんて素敵な話じゃない?」 「それに、その月を見たら幸せになれるっていうし。」 「愛はそういう話好きだものね。」 「うん。てかみーちゃんだってそうでしょ?」 「まあね。」 ―くすっ― 美紗子と愛の会話を聞いて少女は思わず小さく笑った。 「あ、ごめんなさい。何だか楽しそうで。」 くすくす笑いながら少女が謝った。 「アタシもそういう話好きなの。」 少女は、海の方に向き直し目を細めて笑った。 前へ |次へ |
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