《MUMEI》
4
栞里は怖いので弱気な笑顔で話した。
「凄いドキドキしますね」
「ドキドキする?」
「ドキドキしますね」栞里は身じろぎした。「もうわかりましたから、ほどいてください」
アイマスクされている水着姿の栞里は、あまりにも魅惑的だ。
「栞里。いい体してるじゃん。セクシーだよ」
夜月はまたおなかを触る。
「触らないで」栞里は笑顔で言った。
「そういう生意気なこと言うとスッポンポンにするよ」
「わかった、やめて」
やはり逆らえない。無抵抗というのは危険だ。栞里は緊張した。
「栞里。女の子が水着姿で手足を縛られるってことはさあ、この体を好きにしてもいいって合図でしょ?」
栞里は慌てた。
「何言ってるんですか。ホントに脅しの天才ですね」
「怖い?」
「メチャクチャ怖いです」
「でも栞里。女の子が水着姿で自分からベッドに寝たらさあ。どうぞってことだよ」
迫って来る。
「違いますね。だってこれは取材なんだから。夜月さんが言ったんでしょ。体感せずに記事を書く気かって」
「栞里」夜月はソフトタッチでおへそを攻めながら、悪魔の声で聞く。「今まで散々警戒していた君が、なぜ急に体感してみようと思ったの?」
「それは夜月さんを信じているからですよ。こんなに触りまくられるのは早くも誤算ですけど」栞里が白い歯を見せる。
「信じて、裏切られたら、どうする?」
「観念しちゃいますね」
栞里の意外な返答に、夜月は感動した。
「冒険者だな」
姫と側近の芝居はとっくに終わっている。雲行きが怪しくならないように、栞里は明るく笑って話した。
「冒険じゃないです。信頼関係ですよ」
「栞里。白の水着というのは挑発と取られても仕方ないよ」
「なぜですか?」栞里は焦った。
「白は下着を連想させる色だから、白のビキニはリスキーなんだ」
「知りませんよう」栞里はケラケラ笑った。
「栞里。いい度胸してるよ、君は」
感心しながら下腹部や内股を触る。栞里はもがいた。
「何言ってるんですか。犯されたらどうしようって、ハラハラドキドキしてますよ」
「そういうセリフを吐くと、犯して欲しいのかと誤解を招くぞ栞里」
「やめて、ダメ」栞里は体をよじる。
「かわいい」
夜月は水着の紐をいじる。
「栞里の裸が見たい。水着取っていい?」
「ダメ!」栞里は本気で慌てた。「あたしはあなたを信じてるんだから、裏切らないで」
夜月実は、ただの哀願とは違ったニュアンスを感じ取り、攻めるのを躊躇した。
「栞里。何かいつもと様子が違うな」
「酔っちゃった」
「いや、君は酔ってない。わざと夜を狙って来たのか?」
「え?」
「抱かれたくなった?」
「自惚れてる」栞里が笑う。
「裸にされたいか?」
「嘘嘘、ごめんなさい!」

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