《MUMEI》

………………………………


話は少し遡る。



「よッ。」



「ん…おぉ。」



「何ボケっとしてんだ?」



「いや…別に〜。」



屋上。


昼休みには賑わうこの場所だが、


放課後にこの場所に人がいることはほとんどなく、


絶好の告白スポットとなるが、


毎日毎日そんなロマンチックなことが起こるはずもなく、


この日この場所に居たのは男が2人。


日高と葉山。


関谷と共に陸上部を辞めた2人だった。



「何かした?」



「別に。」



「ふ〜ん。」



「…」



一瞬の沈黙が流れる。



「…さっき関谷がさ、」



口を開く日高。



「ハンド部入らないかって誘って来たんだろ。」



「…何で知ってんの?」



「俺も誘われた。」



「…そか。」



「…」



再び沈黙が流れる。


互いに誘われたという事実を話しただけだったが、


その答えは語らない。


だいたいの予想は付くからだ。



「…もう部活はい〜かな。」



「俺たち2年だしな。」



「そうそう。」



「新しいスポーツやるには遅いっつ〜の。」



「全く。」

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