《MUMEI》

     翌日



「あ…」



「ん…」



校舎。


廊下で偶然出くわす日高と関谷。



くるっ…



日高は背を向け立ち去ろうとする。



「ちょ待てお前!!」



ガシッ!!



逃げようとしる日高の肩を押さえる関谷。



「何だよ!?」



「何で逃げんだよ!?」



「逃げてね〜よ!!」



「逃げてんだろッ!!
昨日も人の顔見るなり何だよッ!!」



「ゔ…」



日高は言葉に詰まる。



「ただ…何か…何となくだよ。」



「はぁ…」



曖昧な答えの日高にため息をつく関谷。



「…俺がハンドやってんの気にいらね〜の?」



「そういうわけじゃね〜けど…」



「はっきり言えよ。」



「はっきりも何も…」



(何でかなんて俺にもわかんね〜よ…)



「よぉ〜何やってんだ関谷。」



「あ…」



声を掛けたのはユキヒロ。



「ふん…」



日高はその場から立ち去る。



「…どした?」



「いや…何でも…」



何でも…


そう言った関谷だが、


できれば今、


ユキヒロには声を掛けて欲しくはなかった。


直感的に理解していたから。


自分がハンド部の仲間と馴れ合う姿を見るのは、


日高にとって面白くないことなのだろうと。



(日高…)



「ふ〜ん…
つか関谷、今日の練習」



「わりぃ…」



「ん?」



「今日…練習遅れるわ。」



「は?」

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