《MUMEI》

   放課後 屋上



ガチャッ…



「ん…」



「やっぱ居たか。」



「…何だよ?」



屋上から下を見下ろす日高の元に、


そこにいるであろうことを予測していた関谷が現れる。



「話。途中だったろ?」



「…話すことなんてね〜だろ。」



関谷は日高の隣に立つ。



「ま、そう言うなって。」



「…」



黙ったまま顔を見ようともしない日高。



「…別に今すぐとは言わね〜けどさ。」



空気の悪いまま関谷は切り出す。



「あん?」



「気が向いたら来いよ。」



「…」



「そん時は俺もあいつらも拒まね〜から。」



「…」



「何よりハンド部…」



「?」



「人数足りてね〜んだわ。」



(…猪狩か。)



「まぁ…俺が言いたいのはそれだけ。」



「…じゃあさっさと行けよ。」



「ん…」



「あんだろ。部活。」



「おぉ。そうだった。
今日こそ椎名の野郎を負かさね〜と。」



「…椎名?」



「おう。1年のチビだ。
認めたかね〜けどはえぇんだこいつが。」



「おま…1年に負けてんのかよ。」



「中・長距離ではな。


陸上やってる奴じゃなくても走るって単純な競技だと結構粒揃ってるもんなんだな。


衝撃的な事実だ。」



「…」



(こいつはハンドでも個人競技的思考をするな…)



「んじゃまず…」



「ん。」



そう言い残し、
その場を立ち去ろうとする関谷。



「日高ぁ。」



「あ?」



「待ってっからな。」



「…っせ〜よ。」

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