《MUMEI》

「逆子か…」
「ふにゃぁ〜ι」

半ベソをかきながらチビちゃんが僕の足の間からよじ登ってきて、ギュッとさっきと同じように抱きついてきた。

「ぁ…よしよし///」
「あきらしゃ〜んι」

フニフニとベソをかいている可愛いらしいチビちゃんを見ていると、何だか妙に嬉しくなってきてギューッとチビちゃんを抱きしめて目一杯キスをした。


「さぁ、この子に名前を付けようか」

克哉さんはチビちゃんに服を着せてくると、僕も幼稚園の支度をしながら着替えて自分の身支度を整える。

「そうですね〜はるちゃんとかかなちゃんとか〜」
「それはこの子の兄さん達の名前だな」

二人でそんな事を話していると、僕と克哉さんを交互に見上げていたチビちゃんが大きな声で自分の名前を僕らに教えてくれた。

「くるみ〜!」
「そうだね、いい名前だね〜くるみちゃん♪」
「くるみちゃんだぉ!」

ぴょんぴょんと跳ねながら両腕を上げてクルクル回って大はしゃぎしていたくるみちゃんに『もうそろそろ幼稚園に行くよ』と言うと、くるみちゃんは自分の部屋に慌てて入っていった。

二人でついて行くと、自分の机の上に置いてあったコレクションの香水を付けて鏡の前でポーズをキメながら自分の姿の最終チェックをしていた。

「うしっ!にーたん…」

くるみちゃんはこっちに駆け寄って来てくると、『にーたん』と言いかけると、口をモゴモゴさせながら僕たち二人の顔を交互に見てこう言った。

「…ファータ(パパ)とムッタァ(ママ)もお着替え済んだら行くよ〜♪」

そう言われ、お互いに目を合わせた。

「ファータ、支度は済んだ?」
「ん、後はキスだけじゃないかな…ムッタァ」

克哉ファータはそう言って僕の背中をなで下ろしてきて、僕もそれに答えてキスをすると、下ではくみちゃんが嬉しそうに僕らを見上げていた。
  

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