《MUMEI》
ﾎﾞｿｯ…
｢努力とか…バカか｡｣



誰にも聞こえないような小さな声でそう呟く日高。



｢………あ？｣



だが…村木には聞こえていた。


仲間と自分を否定したその一言が。



｢…何がバカ？｣



｢はぁ？言った通りの意味だけど｡｣



｢努力することが…バカ？｣



｢あ〜｡だからそうだって｡｣



｢…｣



｢口だけのあいつが言うこと何て尚更…｣



｢口だけ…？｣



｢あん｡知らね〜の？あいつ｣



｢口だけなのは…｣



｢？｣



｢お前だろ｡｣



｢は…？｣



村木は日高を挑発。



｢…何で俺が口だけなんだよ｡｣



｢悪ぶってんのがカッコいいとでも思ってんだろ｡｣



｢…お前､大概にしろよ｡｣



｢カッコいいと思って適当な理由つけて努力する奴を嘲笑ってるお前こそ､｣



｢…調子乗んなよ｡｣



｢…お前がな｡｣



｢てめぇ…｣



｢以上｡沖秀一｡｣



｢やっと終わったか…｣



(まだ話してたんかあいつ…)



｢村木…｣



｢…何？｣



｢お前…後で顔貸せ｡｣



｢無理だけど｡｣



｢逃げんのか？｣



｢つか部活｡｣



ありきたりな言い訳。


だが村木にとってそれは言い訳ではなくマジ。


日高を恐れてなどいない村木が逃げる理由などなかった。



｢それまでには終わらせてやるよ｡｣



｢…何を？｣



(こいつ…)

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