《MUMEI》

パンパンッ…



鞄についた土をほろう村木。



「さぁ?」



日高の疑問に対し、
はっきりとした答えのない村木。



「さぁって…」



(あんなん人間業じゃね〜だろ…)



村木にとってすれば、


腕の角度からパンチの来る方向の予想はそう難しいことではなく、


何よりもこういう喧嘩をふっかけられたのは初めてではなかったというだけの話。


もちろん、


生まれ持った天性の運動神経があってこそ成される業だったが。



「まぁでも…」



「?」



「チキン野郎のパンチなんか当たっても痛くなかったろ〜けど。」



「…っ!!」



村木の挑発に怒りを感じる日高だが、


言い返せる言葉はなく、


味わったのは、


これまで経験したことのない程の敗北感。



(くそっ…)



日高はその場に呆然と立ち尽くす。


去ろうとしていた村木。



チラッ…



後ろ目でそんな日高の様子を見て、


足が止まる。



「…はぁ。」



ため息をつく。


多くを語ることが苦手な村木だが、


珍しく今日は沢山を語った。



「…わかんなくもないけど。」



後ろ向きにそう呟いた村木の言葉に反応し、


振り返る日高。



「…お前に何がわかんだよ。」



「…タイミング?
を、失うことも…まぁある。」



「…はぁ?」



「お前…ハンド部入ろうとしてたろ。」



「な…なわけね〜だろッ!!」



「じゃあ…じゃあ何で…」















………………………………



ガタガタッ…



『何の音?
この部室は狭い割に騒がしいな…』



『バスケ部辺りが練習降りてんだろ。


つかうるせ〜のほぼお前だから。


俺たち巻き込むな。』



………………………………











「何で部室の前に来てたんだよ。」



「な……」

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