《MUMEI》

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村木は全てを察していた。


以前日高とすれ違った際に感じた微かなタバコの匂い。


部室の前まで足を運んだ日高が、


それまでいるはずのなかった沖の声を聞いて引き返したこと。


後者の出来事の方が後にあったことだったが、


それに気付いた瞬間、


村木には日高がタバコを吸う理由がなんとなく見えた気がした。


人が腐っていく様を、


村木は人より多く見ていた。


感情的に何かをしようとは思わなかったが、


確実に何か感じる物があった。


こんなに多くを語る村木を見たのは、


日高が最初の1人だった。



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