《MUMEI》 ……………………………… 村木は全てを察していた。 以前日高とすれ違った際に感じた微かなタバコの匂い。 部室の前まで足を運んだ日高が、 それまでいるはずのなかった沖の声を聞いて引き返したこと。 後者の出来事の方が後にあったことだったが、 それに気付いた瞬間、 村木には日高がタバコを吸う理由がなんとなく見えた気がした。 人が腐っていく様を、 村木は人より多く見ていた。 感情的に何かをしようとは思わなかったが、 確実に何か感じる物があった。 こんなに多くを語る村木を見たのは、 日高が最初の1人だった。 ……………………………… 前へ |次へ |
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