《MUMEI》

「…覚えてたのね…」

海月は、隼斗の言葉にまた少し驚き目を見開いたが、静かに息を吐くと、海に視線をずらしポツリとそう言ったのだ―。


「ああ、まさか死んでいたなんて知らなかったけどな…。」
「…最初から、気付いてたの…?」

震える声で海月が訊ねる。


「まあな。お前の事は忘れたことがない。」

真っ直ぐに海月を見て答える。

「そう。…アタシも、忘れたことなかったわ。」


そして、2人の間に暫く沈黙が訪れていた―。

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