《MUMEI》 七夕明け方、夢を見た。 懐かしい友達の夢だった。 昔と変わらず、 若いままの友達。 喋って、笑って みんなで歌を歌った。 気が付けば二人だけで、 隣り合って、 何かを喋っていた。 彼女は私の持っている携帯電話を、殊更不思議そうに眺めていた。 みんな持っているよと言っても、彼女は首を傾げるばかりだった。 そうか。彼女は携帯電話を知らないんだ。 彼女が生きていた頃、携帯電話は一部の人達だけが持つ、特殊なものだった。 あれから十数年が過ぎた。 二十代の始まりで人生を終えてしまった彼女が、今更ながら哀しく思えた。 今日は七夕だね。 会いに来てくれて有難う。 前へ |次へ |
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