《MUMEI》
海の神話-真実-
「!?―それって、もしかして…」
「そうね。…カンタンに言えば、そうかもね。」
「………」

海月の言葉に隼斗は思わず言葉を失う――。


海月の話はこうだった――。

2年前のこの日、
海月は真夜中にこの海に1人で訪れていた。
別に何か嫌な事があったわけではない。家庭は複雑ではあったが皆仲が良かったし、高校でも友人はたくさんいて幸せな生活を送っていた。

ただ、ふと<何か>に呼ばれた気がして夜中に家を抜け出し気が付くとここにいた。そして、<何か>に導かれるように海に入っていったという。

「別に、怖いなんて思わなかった。―ただ、みんなが悲しむことは分かっていた。でも、無意識に足はどんどん進んでいて、戻ることもできなかった。…というより戻る方が怖いと感じてしまった。それで、誓ったの。アタシはこの海で眠ろう―と。そして、ここでみんなの幸せを祈ろう―と。アタシが死ぬことでみんなが悲しまないように―と。」

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