《MUMEI》 ボソッ… 「何かやけに熱いのが来たな。」 「ほっとけ。面白いじゃん。」 わけのわからない3年の部員たちだが、 それなりにこの状況を楽しんでいた。 「…ちゃんと走れんのかよ?」 そう尋ねたのは村木。 日高以外の誰しもがその光景を不思議に思った。 「チキン野郎。」 続け様にそう言う村木。 「ぷ…」 言葉の意味と意図はわからなかったが、 村木からそんな言葉が出ることに吹き出す部員たち。 「…たりめ〜だ。」 その空気とは対象的に、 真顔で答える日高。 「…今こいつが走るとこだから。」 日高に今の状況を説明する関谷。 「一緒に計ってもらえよ。」 「ん…?」 椎名の顔を覗き込む日高。 「俺が話してた1年。」 (こいつが…?) 「?」 2人の会話に自分の名前が出るも、 全くその意味がわからない椎名。 「…上等。」 「…おけ。い〜よな椎名?」 「自分は別に…」 「お前らも。」 「別にい〜よ。」 現部員たちに確認を取る関谷。 「え…あの…」 「糸織(佑香)。わりぃけどこいつのタイムも計ってやって。」 「あ…はい!!」 「し。並べお前ら。」 何故かこの場を仕切る関谷。 だが誰もそこに突っ込むことはなく、 椎名と日高。 両者はトラックに並ぶ。 前へ |次へ |
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