《MUMEI》

「なんなんだよあんた」

「あなたを助けに来たのよ」

「…はあ?」



気づけば林檎は部屋にある俺のデスクに腰をかけていた。
態度は偉そうだが、瞳は真っ直ぐに俺を捉えている。


不思議な事を言う奴だと思った。
誰かに救ってほしいなんて一度も思った事はなかった自分を、助けに来たと言うからだ。
それも今日初めて会った人間が。



『他人ヲ信ジルナ。お前ヲ陥レヨウトシテイル。全員敵ダ』


心の中に居る何かが囁く。


「信じてなんかない。そもそも俺は救ってほしいなんて…」



ハッとした。
頬に何かを感じる。

少ししてから涙だと気が付いた。

それは止まる事なく、頬を伝って落ちていく。

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