《MUMEI》 始まりの物語〜一人の青年〜[2035年 8月10日] 東京都 ○○区 その青年は、弱虫だった その青年は、泣き虫だった その青年は、友達がいなかった その青年は、一人だった けれども、その青年は 誰もが思っているよりも 強かった. 逞しかった. 勇敢だった. ――午後1:00 カタカタとパソコンを打つ音がシーンとした部屋に響く. 真っ暗な部屋にパソコンの明かりだけ. 昼だと言うのに、電気は消しカーテンは閉めている. それにしても、暑い…。 一体の部屋は何度あるんだ?? パソコンの画面をジッと見つめる青年. 友達はいないのだろうか…?? 親は…?親戚は…? この家には青年が一人だけ. そのほかには誰もいない. この家は古く、近所からの評判は最悪. 人が住んでいるかもわからない. この家は、古い……。 その青年は、林川 樹紀[rinkawa zyuki] 14歳. 学校に行くお金がなく、親が残した少しの金で 生活中. もちろん、一人だ. 親戚は、樹紀を嫌って引き取ろうとしない. なぜなら、樹紀は普通の人間ではないから…――. 前へ |次へ |
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