《MUMEI》

   秀皇ベンチ




「出だしは好調。」



「このままミスがなきゃ問題なく追い付ける。」



「そういう意識が」



「わかってる。
さっきまでとは違うことくらいお前もわかってんだろ。」



「…だな。」



「大地のパスは良かったな。」



「あぁ、向こうの右サイド前半も同じ場面で飛び出してたし。」



「けど俺の得点だからな。」



「っせ〜よ。」



「何?また賭けてんのお前ら。」



「得点多い方が500円。」



「全くお前らは…」















………………………………



会話の程度は前半とそう変わりない雰囲気の秀皇だが、


やはり纏うオーラが前半とは明らかに違った。


何気ない会話の中に、


常に戦意が生じる。


ここまでの秀皇は、


文句なしに強豪といえるチームであった。



………………………………














   赤高ベンチ



「す…すません…」



選手たちの第一声は謝罪だった。



「まぁ…座りなよ。」



クロは選手たちを座らせる。



「勝ってんのにその負けてる雰囲気はやめよ〜か。」



「ゔ…」



「僕は負ける何て微塵も思っちゃいないよ。


この試合は絶対勝つ。


1億円賭けてもいい。」



コーチクロからの言葉から選手たちに伝わる物。


それはいつだって、


心のそこから沸き上がる。


勇気という名の武器。

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