《MUMEI》

「考え方は間違ってない。」



「え…」



「サイドを警戒させてポストに落とす。」



「あ…」



「それが狙いでしょ?」



「は、はい。」



(わかってたんか…)



狙いをずばり言い当てられる椎名。



「じゃあ問題はいかにサイドシュートを決めるかだね。」



「そうすね…」



「日高。」



「はい。」



「さっきのサイドシュート。
あれは何で内側狙ったわけ?」



「え…あぁ…、


えと…上手く言えないすけど、


あそこに立たれると打つ場所がなくて…つい。」



「ふむ…」



考え込むクロ。



「それは…お前から見た場合でしょ?」



「は…?
え…どういう意味すか?」



「つまり…お前の視点から見たらコースはないと。」



「そりゃそうすけど…」



クロの言葉の真意がわからないのは、


日高に限ったことではなく、


その場にいたクロ以外の全員が状況を理解することができていなかった。



「まぁその考えは半分正解ではあるんだけどね。」



(その考えって…どの考えで…何が半分違うわけ?)



「サイドシューターに限っては、それは不正解と言わざるを得ないな。」



「どういうことすか…?」



「ずばり…サイドシューターに求められる視点は自分ではなく、手の視点だ。」



「…手の視点?」

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