《MUMEI》

――…コトッ


優子は空けたグラスを化粧道具で散らかったローテーブルに置くと、ふと部屋の隅に置かれた姿見に映った自分と視線が合った。


鏡の中の優子は、メイクという誤魔化しを脱ぎ捨てて、ありのままの姿を晒している。


優子はその素顔を見つめると、不満そうに呟いた――…


「それにしても最近、肌荒れが酷いなぁ…。

…なんだか目の周りも窪んできてるしぃ…。」


優子は右に左に自分の顔を傾けながら、肌に浮き出たブツブツを人差し指でなぞった。


「あ〜ぁ、もうすぐ30かぁ〜…。

…そろそろトシ誤魔化すのも限界かなぁー…。」


お肌の曲がり角を過ぎた三十路前女に、弱気の虫が囁きかける――…

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