《MUMEI》

七生は準優勝だった。



俺はこの結果に大満足だった、ドラマ撮影やら学校祭に平行してあの短期間でここまでいけるなんて見事なもんだ。



喜びすぎて七生にヘッドロックかけたくらいだ。


本人は不満げだったようだけれど……。
負けず嫌いだからなぁ。


ふて腐れた七生とこうして帰る羽目になるなんて。





「いつまで怒ってるの」


「怒ってない」
超目つき悪いですが……!

「放っとけ二郎。ただ自分に納得がいってないだけなんだよ。それで今更ながら、あれやっておけば良かった、これやっておけば良かったとか、後悔しているんだろ?」
……おーとーやー!傷に塩を塗るようなことを!


「なんだと!」


「止めろ!
今日は折角七生が準優勝した日なんだから。穏やかに、な?

確かに優勝出来たかもなんて考えたけど……、準がついて納得した。


これは精進して来年は誰もが認める優勝に繋げろってことを含めての準優勝だよ。お前はもっともっと上に行ける。



それに今日聞いた七生の朗読が1番清々しかった。」


「……ゲロ甘。」
舌を出して乙矢はそっぽ向いた。
何だよ、意味深だな。一人でさっさか歩いて行っちゃうしね。

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