《MUMEI》

今日から高校二年生。

私には入学時からずっと好きだった人がいる。今年、やっと一緒のクラスになれた。
いつも廊下で通りすぎる時か、選択科目が一緒のときだけ彼の姿がみられたから、嬉しかった。
好きになったきっかけ、それは私にもはっきりとはわからない。でも、彼は誰にでも公平に接していた。
活発であっても、ちっとも不快な感じがないのだ。

私は勉強・スポーツ・容姿どれをとっても平凡で、地味なグループにいた。、
一方の彼は割と目立つほうだ。バスケット部に所属し、勉強もできる。顔はかっこいい(これは私の価値観だけれども)。
クラスの中心グループにいて、活発な女子や男子と一緒にいる。
地味なグループの私は、それを遠巻きにそっと眺めるだけ。話しかけるのも彼の周囲にはばかられたからだ。

でも席替えで、彼は私の右斜めの席になった。グループワークが一緒にできる。
机を寄せてグループになって、自己紹介することになった。

緊張する・・・・

「じゃ、まず俺からね。」彼は爽やかに笑顔で挨拶した。
さすがにクラスの中心にいるだけあって、どんどん皆を引っ張っていく。
彼が自然に司会のような形になり、自己紹介を次々に促す。今度は私の番だ。
「次は・・・」
彼が私に視線を向ける。視線が合うと、彼は軽く会釈してくれた。

きっと彼は私のことを覚えてはいないだろう。疎遠だったから。
少しでも彼の記憶に残りたいのは、柄にもない乙女心なのだろうか?
心の中は混乱状態であったが、意を決して口を開く。


「あ、はい。私は・・・・」



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