《MUMEI》

ダッ!!



「枠外かよッ!!」



ボールはゴール枠外。


壁に当たりコートへと跳ね返る。



「何で俺たちはあんな奴を信用しちまったんだ!!」



走りながら叫ぶ両サイド(日高・関谷)。



(いいのかよ…)



ヒュッ…!!



勢いよくコートに戻った分、


キーパーがパスを出すのにかかる時間は短い。



(人のこと気にしてる場合じゃ…)



「ナイスパスッ!!」



ボールは左サイド。


要義人へと通る。



(ねえぞッ!!)



バスッ…!!



「きたぁぁぁッ!!!!!」



「ナイッシューです義人さんッ!!!!!」



後半7分28秒。13対13。


ここに来て、


秀皇はようやくゲームを振り出しに戻す。



「はぁ…はぁ…」



(どうだバカやろぉ…)



「はぁ…はぁ…」



ごくっ…



要は息切れしていた呼吸のリズムを強引に戻す。



「……はぁ…捕えたぜ。」



(やべぇな…)



同点。


7分前に4あった点差は0。


ようやく反撃の狼煙をあげた赤高にとって、


あまりにも痛い1点だった。



(どうすりゃいい…?)

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