《MUMEI》

―――…パタン…。

「………。」


麻友は控室のドアを閉め、暫し無言で佇んでいたが――…


やがて、ゆっくりと右手を上げ、サラサラストレートの自分の髪をむんずと掴むと――…


まるで帽子でも脱ぐように、それを毟り取った!


自慢のストレートロングヘアは、なんとカツラだった。


麻友は、撮影の間抑制していた本性を一気に解放する――…!


「あのキノコ頭、ザケんじゃねーよ!!!」ガンッ!!


怒号とともに控室のパイプ椅子を蹴飛ばし、カツラを放り投げる!


「なぁにが“一番キレイな水着姿を引き出す自信ある”だよ!キモ男の分際で慣れ慣れしいっつーの!」


カツラの下から現れたのは、アシンメトリーモヒカンに刈られた金髪の地毛だった!

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