《MUMEI》
生きていれば・・・
 この頃、物騒な事件が頻繁に起こる。そして今こうやって自分が大都会、東京でのんびりなにも考えずにいる中でも事件は起きる。
 その時、ある映像が目に入った。
 今回の事件現場は、高速道路のようだった。乗用車とトラックが衝突したようだ。もんもんと黒い煙が上がっていて、ほとんど乗用車の形がない。
 しばらくして若い女性がテレビ画面に映った。
「こちらで先ほど乗用車とトラックが衝突し、乗用車が激しく燃えています。今はその姿が見えません。この車を運転していたのは、伊藤真司さん、28歳。すでに死亡しているということです。トラックを運転する大塚義弘さん、26歳は無事が確認されていて現在、警察署で事情聴取を受けているとのことです。また新しい情報が入りしだいお知らせします。以上現場の相原でした。」
 大きな音をあげて自分の頭のずっと上をヘリコプターが過ぎていくのがわかった。
 伊藤真司-。どこかで見たことがある。それでも記憶が蘇ることはなかった。
 自分が知ってる人間がこんな大事故に巻き込まれるとは・ ・ ・ 。不思議な気持ちでいっぱいになった。
 しかし、自分には関係のないことだ。自分の知らない誰かが死んだんだ。
 生きていればこんなことがあり得るんだ。
 

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