《MUMEI》
中田の存在
俺の目に映っているもの。
机、椅子、黒板、筆箱、人、人、人、人……。


こんなにいっぱい人がいるのに運命の人って言うのは、どうやって決まるのだろう。




「おい!聞いてんのかよ、俺の話。」

「ああ、ごめん。聞いてなかった。」

「あのなぁ、そんな堂々と言うなよな。」

「怒んなよ。何だよ、その話を聞かせろ。」

「何でちょっと上からなんだよ。はぁ…まぁいいや。あのな、お前さ、これどう思う?」

俺は裕紀の指先に目を向けた。

「どうって?」

「だから、こんな女と付き合いてぇよな?ってこと。」

「なんだ、またフラれたのか。」

半笑いの俺に裕紀はへこんだ。

「おう!そうさ!でもいいんだ、あんな女。こっちからお断りだっつーの!」

「嫌に強気だな。でも今回で何回目だよ、フラれるの。」

「…15回目。」

予想以上に多い…。そらへこむわな。

「でさ!こんな子だったらあんなひどい言葉言わないと思うんだ!」

「あのなぁ…。」

俺は半分呆れ返っていた。
「グラビアとか雑誌の子は仕事なの。それで金貰って生活してんだよ。一枚何万とかで。」

「そんな夢も希望もないこと言うなよ…。てか、お前も彼女いないじゃん。」

「俺は興味ないもん。」

「……。」

「黙って股間を押さえるな。別にそういうことじゃねぇよ。普通に女の子は好きだよ。」

「なら、どんなタイプが好きなんだよ?」

「うーん…。あんな子。」

「えー!中田!?」

「うん。」

俺が指を指したのは、クラスの地味グループに属している女の子。

「可愛いじゃん。」

「…まぁあの中だったら可愛いけど。でも中田はないぜ?」

「そうか?お前、知らねぇの?」

「何が?」

「普段の中田だよ。」

「普段の中田?」

「おう、こないだの飲み会お前いただろ?」

「飲み会はいたけど。」

「あの時、中田もいたんだよ。」

「え!マジで?全然気づかなかった…。」

「学校と全然違うからな。」

「写メとかねーの?」

「ねーよ。何で俺が持ってんだよ。」

「あ!中田がこっち見た!おーい!中田!」

「何で呼ぶんだよ。」

「何となく。」

「何となくで人呼ぶなよな。」

中田が俺達に近づく。

「なに?」

男子にはいつも不機嫌な態度だ。噂によると大の男嫌いらしい。

「お前、彼氏いんの?」

「ちょ、お前やめろよ!」

「いいじゃん、別に。な、どうなの?」

「いるよ。」

「え……。」

意外だった。

「あー、いるんだ。」

「話ってそれだけ?」

「うん。」

笑顔の裕紀。

「あっそ。」

去って行く中田。

「どうした?なに、中田に彼氏がいてショック?」

意外とへこむ俺。

「べ、別に…。」

「でも、いるんだ。意外だな。しかも結構進んでたりしてな。」

へらへらする裕紀に少し苛立った。

「やめろよ、そういう言い方。」



何故そんなにもイライラしたのか、自分でもわからなかった。



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