《MUMEI》 キュキュッ!!ヒュッ…!! ボールを回す椎名。 (ただで博打をする気はないッ!! 少しでも打ちやすいように間を広げる。 マジで抜くぞって雰囲気見せて、 ディフェンスを揺さ振る!!) 椎名の考えは行動によって伝わり、 キュキュッ…!! 他の4人の動きも同様にそれまでとは変わる。 (鋭い…) 自然と突破を警戒する秀皇ディフェンス。 (よし…) 椎名もそれを察する。 ここで、 椎名は次の手に出る。 「サイドッ!!」 (ん…?)(お…) 呼ばれる両サイド。 椎名の指示を確認し、 すぐにそれを実行に移す。 「なっ…」 (そう来たか…) 椎名の指示。 それは両サイドの位置取りの場所の変更。 それまで高めに位置していたサイドの立ち位置が、 コート最深部。 四隅の内二角へと場所を移す。 (面倒だな…) 状況によってだが、 1枚目のディフェンスとしては視界に入らない位置にシューターがいるのはやはり怖い。 視線を外した内に何をされるかの予想が立てずらく、 また対策が遅れるからだ。 さらに、 深い位置からであるほどにサイドシュートは威力を増す物。 45の動きもこれまで以上に警戒しなければならない。 が、 45に注目してしまうと視界からサイドは完全に消え去る。 どっちつかずな状態だ。 と、 いくつものメリットが生まれるスタイルではあるが、 ここまでその形を取らなかったことにも意味はある。 深い位置にいる分、 戻りが遅れるという点だ。 秀皇両サイドにスピードで劣る赤高両サイドがその位置に付くのはかなりリスキー。 これまでフリーの状況にはさせたくない場面が続いていたからこそこのスタイルを取れないでいた。 しかし、今は違う。 ここで点を取れなければどちらにせよ負ける。 背水の陣の赤高がシュートを外した時の保険などかけている余裕などなく、 選ぶ答えは捨て身。 攻撃に全てをかけた形で勝負に挑んだ。 前へ |次へ |
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