《MUMEI》
約束だから…
修二の体は、首から血しぶきをあげながらドサッと倒れた。
それはリョウはもちろん、近くにいた加奈子をも濡らす。
足元に転がってきた修二の頭。
自分が殺された事すら分かっていないのではないかと思える程、生前と変わらぬ表情をしていた。
「あ…あ…」
迫りくる恐怖に声すら出すのが困難で、一瞬にして金縛りにあう。
「きゃあぁぁぁ!!!」
漸く身体が動くようになったのは、ワンテンポ遅れて美雪が叫び声を上げたから。
「ゥオォォォォォ!!」
美雪の叫び声に共鳴するかの様に、リョウも吠える。
ビリビリと耳が痛くなる程の遠吠えは
泣いている様だった。
もう殺したくないんだよね
だったらこっち向いてよ…
私が今、殺してあげるから!!
「リョーーーウ!!」
遠吠えと共に美雪に飛び掛かかろうとしたリョウ。
加奈子はリョウの名前を叫びながら、その二人の間に飛び出していた。
力いっぱい握りしめた鉄パイプが気味の悪い音をたてる。
それと同時に降り注ぐ血の雨。
ごめんなさい…
ごめんなさい…
加奈子は吐血を全身に浴びながら、何度もそう呟いていた。
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