《MUMEI》
プロローグ
降りしきる雨の音が響いていた。
時折光る雷だけが辺りの風景を映し出す。

ここは都会の中にある皆に忘れられた場所。必要とされていない場所。
リーオルの隙間。

誰も来るはずのない場所。忘れられた空間。……だったはず。

一際大きな雷が辺りを昼間みたいに明るく照らす。
少し遅れて轟音。全てを破壊するかのような光。

そこで見たのは一瞬だったかもしれない。
いや、かもしれないではない。

一瞬だった。

だが、そこで見た光景に眩暈を起こしそうになる。

そこにいたのは一人の少女と一人の小年。

少女は無表情で少年に腕を差し出していた。
少年はその場でぴくりとも動かなかった。

少女の腕の先にはナイフが握りこまれていて、少年の心臓を何の躊躇いもなく貫いている。

どうして……

どうしてあの少女がここにいるのだろう。

どうしてナイフを持っているのだろう。

どうして……

俺が殺すはずだった相手を殺しているんだろう。



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