《MUMEI》
*
このサークルに入ってまだ日は浅いけど、この人の嘘はすぐ分かる。
そもそもトシヤ先輩が自分から物事を切り出すなんて事はしないだろう。
「な!?いいだろ?頼むよ」
上沢さんの猛攻をどうやって切り抜けようかと考えていると、黙って下を向いているホノカに気付いた。
朝から様子がおかしかったノリコ。
その理由を話してくれない。
お酒が入れば…そう考えた私は誘いを受け入れることにした。
「わかりましたぁ。私達いきまーす!
ねっ?ホノカ!」
「――――…え?……うん。いいよ」
「よっしゃー!!
メンツは揃ったな。俺、トシ、ノリコちゃんにホノカちゃん。
場所と時間はまた後でメールすっからさ」
そう言って2人のイケメン達は学生ホールを後にした。
残る私達はというと、再び沈黙。
午後の講義が始まる時間帯になり、ホール内には人がほとんど居なくなった。
私とホノカは同じ教育学部で講義も全て同じだった為、お互い昼からの講義はない。
おそらく飲み会も夕方くらいからだろうし、とりあえず一度家に帰るかどうかホノカに聞いてみることにした。
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