《MUMEI》

パチンッ!!



「やるじゃね〜かッ!!」



「あたりめ〜だッ!!」



「ど〜せまぐれ。」



「一生分の運使っていいからもう1本くらい頼む。」



「実力じゃないこと前提!?」



ボソッ…
「サマージャンボ…」



「今日の運なら当たるとでも言いたいの!?」



「お前ら集中ッ!!」



「来ますよッ!!」



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



「さぁぜ〜いッ!!!」



「チェックオッケーッ!!!」



声の出る赤高。


流れの良さを感じた為か一層声が出る。



ヒュッ…!!ダッ…!!



(ん゙…)



秀皇はスピードゲームを意識したセットプレー。


ここまで赤高が苦手としてきた攻撃を仕掛ける。



(なるほど…)



(向こうも捨て身ってわけか…)



体力を消耗するこのプレー。


まだ時間が20分程残るこの場面ではできれば無理はしたくないところ。


だが、


そうも言ってはいられないのもまた事実。


ペース配分など考える余裕もなく、


勢いに身を任せた。



「上がれ大地ッ!!」



「わかってるッ!!」



ダッ…!!



大地のサイド上がり。



(いま……?)



椎名は違和感を覚えた。



(今…指示出した…?)



センターから指示が出る。


特に変わったことではない。


が、


秀皇に関しては別。


これまでスピード重視の攻撃を仕掛ける際、


その行為がなかったからだ。



(てことは…)



いち早く椎名は気付く。



(次のプレー…何か狙ってる!!)



サイド上がり。
そこから何らかのプレーを仕掛けて来るであろうこと。

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